ワンカット長回しの撮影はこのカメラは誰の視点なんだという疑問が出てくるときがあるが本作はそれを感じさせないスムースな撮影がある。ワンカットがただの技術にとどまらず物語の底を押し上げている。ワンカットのためのお話になってないのが素晴らしい。
果てしなく続く迷路のような塹壕や徐々に目の前に迫ってくる戦闘機、照明弾で照らされた夜の街の廃墟や敵兵の影、そして圧巻なのはスコフィールドが戦場を走りぬける場面。このシーンだけでも観に来て良かったと思わせてくれる。思わず前のめりになってしまう瞬間が何個もあってこれこそ映画館で観る映画かなと。
もちろん俳優陣の演技も素晴らしく伝令を届けることになった２人の友情が熱いほどに伝わってくる。それを各所で待ち受けるお偉いさんの受けも良い。なぜか若手俳優がイギリスの名だたる先輩方に演技レッスンを受けて回るという構図に思えてきてクスっとなりました。
作為的な匂いも感じさせるが戦争映画だがあくまでエンタメを忘れていないのが好感を持てるところです。
