健一

おもかげの健一のレビュー・感想・評価

おもかげ(2019年製作の映画)
3.5
「ひまわり」 「かげろう」
「さざなみ」 「ともしび」。

そして本作。
『ひらがな4文字 邦題作品』にハズレなし!

ちょっと久々。スペイン🇪🇸の作品を劇場鑑賞。

別れた夫と小旅行をしている6歳の息子から電話がかかってくる。
「パパが戻ってこない。どうしよう。」
ケータイの電源が切れてしまい 息子とはそれっきり。
息子の失踪から10年。エレナは息子が居なくなったフランスのビーチで職に着く。
砂浜を何気無く歩いていると
ある「おもかげ」とすれ違う。

うーーーっ。どう表現したらいいのだろう。男の私には難しい。
小さなお子さんを持つお母さんの本作のレビューを是非読んでみたい。あなたならどうする? どう思う?

愛の形は色々あってもちろん人それぞれなのだが、この作品が描く 愛の形 は周囲の人々が受け入れるには難しい超マイノリティー。
友人ならともかく親族だったら あなたはこの愛を受け入れられるか!

間違いなく言える事は 主人公の母エレナは 作品が進んで行くにつれてどんどん美しくなっていく。
ある出逢いからとても 失意のどん底にある息子を失った母 にはとても見えない。
演じた女優さんが凄いのか、演出した監督が天才なのか。
この美しさが より一層作品を色どりミステリアスなものにしている。共感はできないが彼女から目が離せなくなる。

男目線から見ると元夫はともかく、エレナの恋人、少年の父親、職場の上司と 彼女の奇妙な行動に振り回される男たちは たまったものじゃない。
マイノリティーな愛を貫くって覚悟はいるけど 周りの人達は大変だな。

"ラストがすごい!" と話題だったので 今回観に来たのだが 正直大したことない。
むしろ 中年に差し掛かった女性の愛とも贖罪とも言えぬ 信念の生き様に食らいつきながらスクリーンを眺めていた。

昔のミニシアター全盛期を思い起こさせる 愛の小品。



2020年11月10日
シネスイッチ銀座screen 2
💺182席
客入り 50〜60人。

1年半ぶりのシネスイッチ銀座。
ちょっと足を伸ばして7年前に閉館した シネパトス銀座 の跡地がどうなっているのか見に行ってみた。
地下部分は完全に埋め立てられてしまい、その上(地上)には オシャレなベンチが ふたつ 設定してあった。 昔の「おもかげ」は何一つ残っていなかった。
時の流れとは言え なんだか悲しい😭。
健一

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