まーろう

異端の鳥のまーろうのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
放浪する一人の少年が行く先々で大人たちから暴力、虐待を受ける模様をモノクロ映像で3時間延々と見せつけられる地獄のような作品でした。
少年が残酷な世界で逆境と戦うという点では『鬼滅の刃』に通じるものがありますが、残念ながら煉獄さんのような大人は出てきません。

『鬼滅の刃』の特徴として心情や状況を言葉で説明する場面が多いというのがありますが、『異端の鳥』はその真逆です。
主人公の男の子はほぼ喋らないし、(あらすじでは最初から明言されていますが)少年がユダヤ人であることや第二次大戦中の話だということも、中盤でドイツ兵が登場して理解できます。

R-15指定だけあってバイオレンスとセックスが満載の映画ですが、映画だからこそ、これだけの悪意と残酷さに我々観客は向き合えるのだと思います。こういう種類の「映像体験」もあるのだという意味でお勧めです。
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