シミステツ

マリッジ・ストーリーのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ニコールは常に周りに気を遣い、夫より一枚上手、飲みもしない紅茶を淹れ、贈り物のセンスもよく、瓶のふたを開ける腕力もピカイチ、子どもといつだって本気で遊ぶ。
チャーリーは意志が強い。映画ですぐ泣く。家事が得意。自分を曲げない。怒りをぶつけても受け流してくれる。負けず嫌い。歯になにかついていてもさりげなく指摘してくれる。

開始5分で掴まれた。お互いの特長を語りで解像度高く紹介していくところめちゃくちゃ好き。

そんな二人がなぜ別々の道を?という引きから物語は進んでいく。

争いたくない。友達でいたい。
映画女優という肩書きを引っ提げ夫の劇団の舞台女優をやるも夫が称賛されていく。夫は私を見ていない。夫の所有物という感覚。

スカーレット・ヨハンソンの長い語りすごい。名声、嫉妬、自己肯定感、自立した女性、色々なものが交差する。

チャーリーの弁護士はしっかりと戦う気でいまが、チャーリーは平和的に済ませたい。本人たちの思惑と違って代理戦争化していく。離婚ってもっと前向きでもいいはず。

話し合おうと言って二人の本音がぶつかり合うシーンは白熱だった。辛いし多分言いたくもないことだらけだけど、裁判が二人をこうさせてしまったような。

調査員の淡々とした口調めっちゃリアル。

最後のシーン、冒頭の語りが良いところを書いたメモだったんだね。なんという回収。

離婚を従来的にステレオタイプな悪として描かず、かといって綺麗事化や神格化もせず、離婚のリアルでしんどい現実的な面も丁寧に描写しつつ、離婚はするけれどお互いを想って前に進んでいくのには変わらないんだというメッセージ、二人に流れる奥底の愛も感じられるハートフルな作品でした。

「矛盾してるけどずっと愛するだろう」