結婚生活が長くなると、自分が自分でない、誰の人生を生きているのかわからなくなる瞬間があるのだ思います。
決して相手のことを憎んでいるわけではないのですが、自分の人生を取り戻したくなる、そんな離婚とは、結婚とは、愛とはを描いている作品です
親権を奪い合う壮絶な闘い。これは、契約社会のアメリカならではの弁護士を入れた闘いの中での激しい罵り合いは、見ていて辛くなるほどでした。
このプロセスは一過性のものだから、という弁護士、でも、そのプロセスの中で、お互い、相手の醜さを穿り出す、結果お互いが傷つきあう、それが離婚することだということを映画は描きます。
でも、観客がそれほどにリアルに感じる世界に引き込まれるのは、スカーレット•ヨハンソンとアダム•ドライバーの演技が凄まじいからだと思います。
そんなに罵り合う反面、今まで人生を共にし、生活を共にしてきた相手への優しさや思いやりが、閉まらなくなった扉を一緒に閉めるところや、長くなった髪を切ってあげるところに現れて、切なくなります。
人生を別に生きると思っても、お互いが味方みたいな家族の情が残っている2人です。
いろいろな離婚がありますが、この映画の2人は、リスペクトがお互い残っていて、救われました。そして、息子ヘンリーへの愛情というところでは共通項があり繋がっている2人でした。
そして、お互いが結婚生活の良かったところや、相手の良かったところを思い出せる状態である、というのも救われます。
とにかく、2人の演技が素晴らしくて、アダム•ドライバーが息子に代わって自分について書かれた内容を読み上げる表情を観て、涙が出ました。本当に素晴らしい俳優です。
そして、その演技力を引き出す脚本でした。
