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マリッジ・ストーリーのとぽとぽのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
5.0
「映画でよく泣く」So we should talk... Being Alive♪《監督》こんなにも笑えて、こんなにも気まずくて、こんなにも胸締め付けられて、こんなにも物語(=story)というより登場人物彼ら自身のこの先行く末が気になって案じたことがあったろうか。本当に愛しいし抱きしめたい --- この映画に2秒で恋に落ちた。単純に今世紀の『クレイマー、クレイマー』=『バーバー、バーバー(Barber vs. Barber)』とは括れぬ新鮮さと奥深さに驚きに満ちた洞察と何より色合い豊かな《人物描写》。それを繊細かつ鮮明に真に迫った形で体現する主演2人、スカーレット・ヨハンソン × アダム・ドライバーの心に残り沁み入る名演技。これはもしかすると僕にとって特別な監督であるノア・バームバック彼の素晴らしく目を見張るフィルモグラフィーにとっても、とりわけ掛け替えなくベストな1本かもしれない(だから間違いなく今年1年を代表する1本だと保証する)。この映画が同じような状況に立たされて本人たちの意思とは無関係な所(ex. 弁護士)で思いもかけず引くに引けない泥沼劇に「こんなこと望んでいなかったのに」と悩んでいる人々を一人でも一組でも救えるのなら、それが最も望ましいことだし切に願うことだ。
誰かの人生を変えうる。ただ、これから本格化していく賞レースのシーズンでやはり本作はその出来を目に見える形で認知・称賛されるべきだとも思うわけで、とりわけ作品賞以外にも監督賞(ノア・バームバック)、脚本賞(ノア・バームバック)、主演男優賞(アダム・ドライバー)、主演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)あたりの主要部門ノミネートは堅いと思う(あと個人的には饒舌に下世話で嫌味っぷりが最高だった弁護士役ローラ・ダーンの助演女優賞)。それぞれがそれぞれのキャリア最高レベルを持ち寄っている。特に作品後半、主演二人のヒートアップしていく剥き出しな言い合い罵り合いシーンは演出も相俟って圧巻の出来にスクリーンに釘付けで本当の本当に胸潰された。対比した構図もどこかで一体化して溶け合っていくように。これほどのクオリティーだ、そろそろ彼がオスカーを獲ってもいい番だろう。この脚本や演出は表現したいと燻っている僕もお手本にしたいけど、僕には人生経験も人間観察力も足りないな、とこれまた唸ってしまう。ふと立ち止まりお互いを尊重すること、愛していた日々を思い出すことといった原点に立ち返る方法を嫌味なく親近感と共通性を持ってしてサラッと訴えかけてくるみたい。不本意な形になってしまったのを歩み寄って微かな希望を託していく。映画でよく泣く。あなたの番、ううん、どっちでもいいや。疲れた、眠ろう...今日は同じベッドでさ
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