今泉力哉監督の『街の上で』のタイトルの元ネタでもあるマルク・シャガールの絵画『街の上で』にオマージュを捧げた戦禍のケルン上空に再現した美しい画のポスターが印象的だった本作。
正直これまでの“リビング・トリロジー”(※散歩する惑星→愛おしき隣人→さよなら、人類)ほどのユーモアや伸びやかさは感じず、少し窮屈に感じられる部分もあったが、相変わらずなじっくりねっとり舐め回すような長回しスーパーショットのつるべ打ちを堪能。
関連性のない33ショットを羅列(※最終的には繋がりが浮かび上がる)は、オムニバス映画ともまた異なる新たなストーリーテリングの概念。個人的にはリュミエール兄弟の短編集を観ているような感覚を思い出した。人類は、悲劇に負けずに生きていける。そのためにはやっぱり愛がなくっちゃという神(アンダーソン)からの教示。