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ハニーボーイのエスのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
3.8
怒鳴り声への嫌悪感と恐怖。その空気感が生々しい。

虐待からのPTSDを扱う作品だったのですが、本当にみていると精神にくるようなきついものがあり、胸を抉られるような気分を味わった。美化させてはいけないとも思うし、こんな痛みは昇華されるべきだとも思う。

シャイア・ラブーフの自伝だと知ってびっくりしたけど、同時に納得でもあった。トラウマの対象をよく演じきったよなあと。

目的だったノアジュプくんも大きくなってたし、何より健気で幼くも、絶望と葛藤を乗り越えんとする繊細な演技が光ってました。ルーカスヘッジズの苦悩もすごく惹き込まれる。

こう重たく繊細なテーマだけど、実在する問題だからこそ単純な''悪''として描くのではなく、色んな見方、昇華の仕方、行き詰まってしまった時の逃げ道を提示してあげることで、誰かにとっての救いになるのかなと思った。

全てを飲み込んだ上で、美しいといえる作品でした。

どんな人にも愛は、時に大きな力ともなれば、深い傷ともなる。
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