しばにゃん

地獄の黙示録 ファイナル・カットのしばにゃんのレビュー・感想・評価

4.8
巨匠フランシス・フォード・コッポラによる戦争叙事詩の最高傑作。
ファイナルカット版があったことをつい最近知ってU-NEXTで鑑賞。

せっかくこの傑作をIMAXの劇場で見る機会があったのに、それをみすみす逃してしまったのはこの先ずっと後悔する事になりそう。

特別完全版が公開された時に「これはコッポラが産んだ生き物だ」っていうコピーが付いてたけど、それはなかなか言い得て妙で、この映画は見る度に姿を変えて鮮烈な印象を与えてくれる。

本当に、なんかもうとんでもないヤバい映画。
語彙力が無くて的確に形容できないのが歯痒いけど、マジのガチでヤバい映画。

ストーリーはシンプルだけど、展開はまとまりなくとっ散らかっていて脈絡に欠ける。
戦争という極限状態の狂気や、アメリカの横暴欺瞞を描くために挿入されたシーンは、凡百の映画なら説明的で説教臭くなりがちな所だけど、本作のそれはリアルなセットと役者の演技力によって凄まじい迫力に満ちていて、それぞれが1つの映画を観ているようなエネルギーがある。
狂気という言葉を軽々しく使いたくはないけれど、この映画の持つエネルギーは記号的ではない本物の狂気なんだと思えた。

各シーンが支離滅裂な映画は基本的に嫌いなのに、この映画はそのカオスっぷりに好感を抱いてしまう不思議な一作。
まさに怪作と呼ぶに相応しい唯一無二の戦争映画だと思う。

おそらく本作の迫力はIMAXで見る事で最大限に発揮された事だと思うと、つくづく劇場で見逃した事が悔やまれる。

能書きはいいからとりあえず見てくれって作品。
本作の鑑賞は他のどの戦争映画の傑作にも替え難い体験になると思う。
しばにゃん

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