birichina

郵便配達は二度ベルを鳴らすのbirichinaのレビュー・感想・評価

4.0
原題「Ossessione」(妄想)
女が憑りつかれたもの:金、安定した暮らし、恋人に棄てられるのではないかという不安
男が憑りつかれたもの:殺した男(女の亭主)の影、殺人がバレるのではという恐怖、自由への憧れ

女性主人公より男性主人公が魅力的に描かれていた。(ヴィスコンティだから当然か。。)
*ジョヴァンナ(実はアンナ マニャーニが演じるはずだったが、妊娠したのでできなかった)はかなり醜く撮られていた: やたらときつく鼻をかむ。ガツガツと姿勢も悪くスープか何かを口に運ぶ。男に妊娠したと告げる時の顔の表情。ただ、白い脚がとてもなまめかしく撮られていた。
*ジーノ(炭鉱で働いていたという設定なのでマッチョ)は、特に最初のほうのボロ服のとき、貝の音を聞いて「一緒に逃げよう」と言うシーンや、海を見に行くために汽車に乗っていてスパニョーロに無賃乗車を助けてもらうシーンなどは魅力的だった。でも、服装がよくなるにつれて魅力が失せていった(ジェラートをおごってかわいいダンサーだか娼婦だかをナンパするシーンとか)。

当時の日常風景が興味深かった。
*お祭りのゲームは1回50centesimi(0.5リラ)、傘は20リラ。
*のど自慢大会(?)でジョヴァンナの夫は椿姫の「プロヴァンスの海と陸」を歌っていた。
*近所の男衆たちが余暇にボッチャをして遊んでいた。
*公園のジェラート売りの移動ワゴンが白鳥やドラゴンのような動物の形をしていて時代を感じた。

スパニョーロ(たぶんゲイ)は最終的に警察のような所へ行くようだが、自分と旅立つことを選ばなかったジーノを売ったのか? 当時のスペインに対する批判が含まれていると思われるが、どのような批判なのか? 彼がホテルの部屋で食べていたものは何?(ミステリアスな人だった)
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