Boss2054

ザ・レポートのBoss2054のレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
4.8
私には、話が難し過ぎて、要領を得るまで、随分と時間が掛かった。
要は、9.11をきっかけにCIAで行われていた拷問が実は科学的な根拠もなく成果もあがらなかった。
ト云う事実に関する詳細を調べ上げて発表しようとするアダム・ドライバー扮する主人公サイドとそれを隠蔽しようとするCIAサイドの対立の物語。
派手なアクションシークエンスなどがないのは、
コノ物語が事実だから。

先ずは、こう云う物語を映画化するハリウッドの度量にいつものコトながら感心する。
事件の内容は別にしても、
関連書類の隠蔽、破棄、改ざんなど、
我が国でも同様の事件はいくらでも起こっているが、
それらの事件が映画化になるコトは先ずないだろう。

主人公アダム・ドライバーが語る、虚構のドラマと現実の違いに対しての言及が身に沁みる。
例えば、ドラマ、24で、犯罪を未然に防ぐために主人公は、容疑者たちを暴力で追い詰めるが、アレはドラマの中の話であって現実の話ではない、ト。
私たちは、ドラマの影響でそれらを当たり前に受け入れているが現実は違うト云う意識をしっかりと持っていないと、
やがて、虚実の区別がつかなくなってしまう、ト云う恐ろしさを感じた。
事実、CIAサイドの物言いは、ドラマと同じ物言いなのだ。
正義を貫くためには暴力もやむなし…。
果たしてそうなのか⁇

虚構に浸ったている時間が長いと現実との区別がなかなかつきにくくなるト云う話。そしてそのコトに寄って、本質的な正義を見失うト云う話には考えさせられた。
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