ノラネコの呑んで観るシネマ

ジョン・デロリアンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ジョン・デロリアン(2018年製作の映画)
3.7
これは邦題に偽りありで、あのDMC12 デロリアンの生みの親、ジョン・デロリアンの伝記じゃない。
映画が描くのは、DMC倒産直前に資金繰りの為に、あろうことか麻薬ビジネスに手を出すまでの顛末で、主人公は隣人だったデロリアンをはめたFBIの情報屋ジム・ホフマンの方。
映画は裁判で証言台に立つジムを起点に、ケチな密輸飛行機のパイロットだったジムが偶然デロリアンと友人となり、自らの免責と引き換えに、いかにして彼を売ったかを時系列を行き来しながら紡いでゆく。
だからこれはあくまでもジムの映画で、デロリアンは脇役に過ぎない。
まあこれはこれで面白いが、本題に入るのが映画が半分終わってからって遅過ぎ。
主人公もお調子者だけど、友人を売るくらいだから感情移入し難いキャラクター。
どっちかといえば、デロリアンの夢の結晶だったDMCが、無残にぶっ壊れてゆく彼目線の物語の方が見たかったなー。
しかし機械としては失敗作だったものの、ジウジアーロのデザインは今見てもむちゃくちゃカッコいい。
これをタイムマシンにしたゼメキスは流石の慧眼だな。
もしDMCが「BTTF」まで持ちこたえてたら、歴史は違ってたかもしれない。