はんぺん

街の上でのはんぺんのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.8
特に何か事件が起こるわけでもない2時間。そんなの退屈じゃない?だってなんにも起こらないんでしょ、私たちの日常でしょと、勝手に解釈していた昔の私を恥じる。なにも起こるわけじゃない生活にも、非日常はあって、この作品は、普通に生きていてありそうでなさそうな、でもありそうな、そんな日々を切り取っていた気がします。あんなに長いんじゃないかとか思っていたのに、いざ観てみたら一瞬でした…!
こういう、"ただただよかった"という感情を、うまく言語化できず、自分の語彙力の低さを悔やみます。でもこういうのはわざわざ言語化しなくてもいいのかなとも思ってきました。ほんとうに空気感・音楽・芝居など、すべてが好きだったのですが、最初の方だけ、少し説明くさいセリフが多かったように思いました、、
一昨年、まだコロナが流行る前は、けっこう下北沢に足を運んでいたので、上映中「あそこだ!」となる場所が多く、嬉しかったです。そしてたまたま今日の私の服が下北沢の古着屋で買った服だったので、さらに少しワクワクしてしまいました。
チーズケーキの唄、歌詞ももちろん、若葉さんの歌声ステキだったなぁ。そして、荒川とイハちゃんの長回し。あんなに定点で長回しで、ただしゃべっているだけなのに心地いいことあります?イハちゃんがちょっと噛んだのも、"セリフ"として噛んだのではなく、"イハの言葉"として噛んでいたので、なんとも素敵で。イハちゃんのお部屋以外でも、すべての会話が実際にそこらじゅうに溢れていそうで、こんなにも自然なお芝居ができる役者さんたちに舌を巻きました、、、!
あと、朝ドラ俳優の間宮さん。実際成田凌さんも、若葉竜也さんも、そして倉悠貴さんも、朝ドラ俳優なのがすごいなぁと思うとともに、それを知ってなのか"朝ドラ俳優"という言葉が映画内に流れてくるのがなんだかおかしくてクスッと笑ってしまいました。
そして。あの修羅場はたくさん笑ったなぁ、あの修羅場だけではないんですけど、修羅場は声を出して笑った、最初の古着屋に来た元カップルのその後もじわりじわりと分かるのがよかったです。こんなに笑う映画だとは思わなかった、もう一回観たいです。最高の一本でした。!
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