けんぼー

街の上でのけんぼーのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.0
2021年鑑賞46本目。
好きな映画がまた一つ増えた。夢と哀愁漂うカルチャーの街「下北沢」の上で生きる若者たちの物語。

映画見終わって真っ先にグッズのパーカー買っちゃったよ。シンプルなデザインで胸に「OVER THE TOWN」って書いてあるのが個人的にどストライクでした。見終わった後にそんな感じに気分が高揚してしまうほど、素晴らしい、というか「好きな」作品です。

主人公「荒川青」は下北沢の古着屋で働く、はっきり言ってバカで、フラフラしてて、一見魅力に欠ける青年なんだけど、彼の行動は面白おかしくもありながら、自分の中にも「青」がいることに気づき、映画が終わる頃にはとても愛おしいキャラクターになっていました。

「青」を取り巻く「川瀬雪」「城定イハ」「田辺冬子」「高橋町子」という4人の女性キャラクターもみんな魅力的で、かつそれぞれが「こういう女の子いるいる!」と思える。まるでこれまでの人生の中で彼女たちに出会ったことがあるかのように、彼女たちとの思い出を振り返ってしまう。こういったキャラクター造形が出来るのは今泉監督の特徴の一つだと思うし、実際に「青」たちが下北沢の街にいるんじゃないかとさえ思えるのはすごいことだと思います。

そして会話が面白い。
その場の空気感というか、話している内容は本当に大したことないんだけど、とにかく面白い。ただ登場人物二人が会話しているだけで面白いって、なかなかできないし、登場人物が二人いればそれだけで面白いシーンが作れるんだということを再認識することができた。その分難易度は高いけど、それを成し遂げている作品。

そして「青」を中心とする登場人物たちが様々なシチュエーションで会話を重ね、それが物語後半で絡み合って一種のカタルシスすら感じることができる。いやあ、素晴らしい。

ジャンル分けは難しいけど、色々な人におすすめできる作品。
今泉力哉監督作品も全部見なきゃなー。

2021/4/21鑑賞