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街の上でのminamiのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
3.0
コロナ禍で上映が延期してしまった作品を、未だ続くwithコロナの2021年に映画館で観るということにとても意味があるなぁと思える作品だった。

ここにはなんてことはない日常の愛しさがあまりにも溢れているし、大きな事件はないんだけど、登場人物みんなマスクをせずにくっついたり離れたりしていて、私たちはこんな風に時を過ごしていたんだなぁと、忘れかけているものを思い出させてくれたように思う。

先に観た『あの頃。』とキャストが結構重複しているのもパラレルワールドのようでよかった。
ということはあの人が死んでなんていない世界も、あの人があの人と出会わない世界もあったのかな、なんてね。

主人公が放った「○○とデキてたんですか?」とかいう不躾な質問(後から悔いていたけど、あれはなかなか罪深い発言だと思う…でも言ってはいけないとわかっているはずの言葉が飛び出しちゃうほど口が緩むときってあるよね…)や、おそらく私だけでなく同年代の人たちはあまり知らないのではないかと思うような番付を登場人物の一人が「一般常識」って言いきっちゃったりするようなところに、その人の背景や人となりが見えてとても「生」を感じる。

そうだよなぁ、今こうやって会話をしたり映画を観たりできるのは、私もこの人もあの人も、みんな生きているからなんだよなぁなんて思っちゃったり。

軽く観られるのにじんわり沁みていきます。

ロケーションが全編下北と聞いて下北沢トリウッド(劇中にも出てくる)に観に行ったけど、その後自然と聖地巡礼できるのも、彼らの生をなぞるようでよかった。
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