ノラネコの呑んで観るシネマ

オン・ザ・ロックのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)
4.3
やり手ビジネスマンの夫の浮気を疑った主人公に、ビル・マーレイ演じる女に目がないプレイボーイ父ちゃんが、いらんアドバイスするw
マーレイ+ソフィア・コッポラのコンビは鉄板。
この父ちゃんの背中を見て育ってきた娘には、嫌な予感しかしないの分かるわ。
最初から男性不信があるから、ありとあらゆることが浮気の証拠に思える。
さらに調子に乗った父ちゃんが、探偵みたいなことをはじめるもんだから、娘もすっかり乗せられてしまう。
しかし、結局人間一人ひとり違うのだ。
学校の廊下で交わされる、ごく短いママ友トークが秀逸。
女性に無数の個性があるように、男性も本当はいろいろ。
でも娘にとって、生まれて初めて接する男性である、父親の影響は強いんだろうな。
彼女は愛憎入り混じる関係の父ちゃんによって、ステロタイプな男性像に囚われてる。
ソフィア監督にとっても、たぶん父コッポラの影響はそれはそれは大きかったのだろう。
これは言わば、呪いをかけた父ちゃん自らによる、解放のための「ロスト・イン・トランスレーション」だ。
いい感じに肩の力の抜けた、ほっこりする家族の寓話。