ルーツの民族がバラバラの3人の家族が暮らす近未来。
父は、中国系の娘の民族帰属意識のために、好きでもない中国茶に没頭し、
娘の兄として、中国系青年のビジュアルをしたロボットのヤンを家族に迎える。
突如動かなくなったヤンの修理に奔走する父は、ヤンの内部に仕込まれていたメモリーに記憶された、ヤンの断片的な記憶映像を目撃する。
(以下ネタバレ気味)
妻は、ヤンの復活を諦め、ロボットの力を借りずに、自力で家族の新しい始まりを望むが、夫にその意識はなく、ヤンの記憶探索に没頭する。
そこで、見覚えのない女性と接触し、恋愛関係にあることや、彼女がクローン人間であることを知る。
ヤンと会話をしても、相手を不機嫌にさせないような差し障りのないトーク運びで、プログラミングされた情報源から話しているなどから、
所詮ロボットであると割り切っていた父にとって、ヤンが自発的に恋愛していたことは驚きの事実であった。
記憶を深掘っていくと、短期間だけ別の家族で生活して返品されたこと、さらに前の家族では長い生活があったことを知る。
その家族には中国系の弟がいたが、仲違いしてしまったこと、介護に訪れた女性との恋愛、喪失を経験し、その女性のクローンこそが、今の彼女であることがわかる。
今の彼女は、自分自身ではなく、かつての恋人の姿を追って自分と付き合っていたことに絶望する。
そして父は、
ヤンの記憶映像を観たことがなくとも、娘のなかにヤンの記憶の一部が生き続けていることを知る。