稀

アフター・ヤンの稀のレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
1.0
動かなくなった家庭用人型ロボットの記憶を巡る話。
舞台は近未来。ロボットの記憶を人と同じように大事にするというテーマは好ましいものの、映画としてはあまりに退屈。冒頭の家族ダンスバトルだけは目を引いたが、それ以外は家族同士の交流が描かれないままロボットの記憶を断片的に見せられる。現在が把握できないのに過去を見せられても面白くない。
映像は非情に綺麗だが、多国籍な家庭には生活臭がなくて作り物感がある。近未来のSFというより、監督の思想を全面に押し出したPVという印象。
そもそも人型ロボットにメモリが搭載されているのが珍しい、という設定に無理がある。記憶媒体を持たないロボットなんてロボットじゃない。エンディングにリリィシュシュの主題歌が流れて呆気にとられた。有名な映画の主題歌を流すなんて監督には映画人としての矜持はないのか。
稀