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パーフェクト・バディ 最後の約束のmaverickのレビュー・感想・評価

4.1
2018年の韓国映画。『ペパーミント・キャンディー』のソル・ギョングと、『毒戦 BELIEVER』のチョ・ジヌンのバディムービー。


2011年のフランス映画『最強のふたり』をベースに、韓国らしさを取り入れた作風という印象で面白い。車いすの富豪は、元検事のやり手の弁護士に。移民の青年は、喧嘩っ早いチンピラに。なるほど上手い変換だ。二人の関係性だけで話を進めるのではなく、それぞれの過去を掘り下げた部分でも引き込ませる。生き方も立場も違う二人が惹かれあう姿に共感を覚える話であり、韓国映画らしい人情を感じさせる物語だ。

ソル・ギョングは今作でも抜群の存在感。今回は首から下が麻痺した難役を熱演。感情が死んだかのような淡々とした様に凄味があった。自らの過ちを悔いて涙を流すシーンでは、首から上だけで感情を爆発させるとても難しい芝居を披露している。彼はやはり別格だ。

今作ではチンピラ役のチョ・ジヌン。社会の爪弾き者であるが、情のある憎めない男を好演する。男気のある部分と情けなくてコミカルな部分とが合わさった表現が見事。ソル・ギョングもチョ・ジヌンも安定の演技力で、この二人が出ている安心感が本作には満ちていた。期待通りで非常に満足。

『エクストリーム・ジョブ』のチン・ソンギュ、『シルミド』のホ・ジュノの両名の存在感も抜群である。そして本作のヒロイン枠である弁護士役のキム・サランも印象に強く残る。彼女、なんと1978年生まれの40代だというのだから驚きだ。20代と言ってもみんな信じるでしょ。その若々しさは本国でも有名らしい。凛とした美しさが役に合っていて素敵だった。

ヤクザの世界の話でもあるんだけど、そこにも情を持った描き方がされているのが良かった。単なる悪人ポジションじゃない。それによって、チンピラのヨンギの生き様がよりドラマチックに感じられた。弁護士ジャンスの話も深みがあった。許すとか許さないとか、そう白黒はっきりつけられない複雑な感情。ここは胸にぐっときた。ジャンスとヨンギが夜景を前にするシーンも好きだったな。名シーンがたくさんある。


『最強のふたり』のリメイクではないんだけど、ベースになっているのは間違いないだろう。オリジナルの良さを生かし、そこに自国の独自の要素を合わせ、より面白味を出す手法が韓国は上手い。『イカゲーム』のようにね。どういう要素を組み合わせればヒットするかをよく分かっている。それはキャスティングも然り。ソル・ギョング×チョ・ジヌンなら間違いないでしょ。いや、流石だな。

車ネタがたくさんあったのも個人的に好きだった。ジャンスが言っていた「有名な映画に出てくる車」ってアレのことだよね。あの車は確かに名車。それを登場させるなんてセンスあるね。
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