静かできれいな作品だった。冬の小樽の風景もその一役を担っていた。
子どものころいっしょに韓国で過ごしていたふたりの女性。ひとりは小樽でおばさんと暮らし、もうひとりは韓国で結婚し、出産し、その後離婚した。
もう40代になっただろう女性ふたりの20年越しの再会のストーリー。でも、ふたりは会いたい気持ちをおさえたまま日常を送っている。
再会のきっかけは、小樽のおばと韓国の娘であるのがおもしろい。ふたりは自分から行動しない。
女性同士の友人だが、それは恋愛だった。お互いを打ち明けることもなく、静かに表現していく。
自分が同性愛者なら同性愛者を見抜くことができるのだろうか。それはジュンをしたうリョウコにも感じていたことだった。
ユンヒの娘セボムの笑顔がかわいい。本作が映画デビューらしい。
そのセボムがストーリーを動かしていく。母親の過去を聞いたり、離婚の理由を聞いたり、同性愛者であることを隠していたユンヒ。だから元夫は「寂しかった」と言っていたのが印象に残る。
小樽での再会のシーンは鳥肌がたった。
ポストに投函しないはずの手紙がふたりをつなげる。岩井俊二の「ラブレター」にインスパイアされたらしい。なるほど。