YukiSano

WAVES/ウェイブスのYukiSanoのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.0
美しい地獄映画。
凄まじいカメラワークと色彩で目眩く青春の輝きと混乱、絶望を見せつけてくる。

音楽と音響も脳を刺激してきて、十代の頃の行き場のない興奮状態を上手く現している。

画面サイズが物語のテンションによって変わるので、パートによって別の作品のようになるが違和感はなく、面白い試みだと思う。

前半のドラッグムービーばりの目まぐるしい映像感覚から、後半は16㎜フィルムで撮ったかのようなシットリした映像になるのが効果的で、1つの作品なのに2つの映画を観たかのような感覚となった。

内容はあまりに地獄なために、ふいに優しいパートになると心に染みる。

何かをハッキリ伝えてくる訳でもなく、淡々と人間模様を見せることで希望が滲み出てくる。

ただ生きていくことの辛さと喜びが等価値のように流れていく。なすがままに生きざるを得ない苦味と喜びこそが人生だと言っている。
YukiSano

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