叡福寺清子

コリーニ事件の叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

コリーニ事件(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

弁護士になってわずか3ヶ月のカスパー・ライネン弁護士さん,少年時代からの大恩人を殺害した男の弁護するの巻.グーテン・アーベント三遊亭呼延灼です.
黙秘を続ける被疑者のファブリツィオ・コリーニ氏.困惑するライネン弁護士.それでも反抗に使われた銃を糸口に事件の全容に迫ります.

欠陥法であるドレーアー法の瑕疵を明らかにするために製作された本作.その法がいかように欠陥かは視聴していただくとして,その目的の為に他の部分がやや雑になってしまったのは残念でした.ライネン弁護士と被害者の孫であるヨハンナさんは昔いい仲でしたが,被疑者の弁護って事で当然ギクシャクします.さらには全容を明らかにしたくない勢が緩急つけてライネン弁護士の活動を阻害します.物語を芳醇にするこれらの側面を,わりとあっさりと処理されていました.全ては最後のマッティンガー教授への尋問の為ですが,そこはちょっと残念でした.もっともそれを盛り込んじゃうと140分くらいの長尺になるでしょうから,致し方ない事でしょう.

残念といえば,物語は被疑者死亡により未判決なまま閉廷したことも残念でした.本作の主眼はドレーアー法であり,事件に白黒つけることではないので,これまた致し方ないんでしょうかねぇ.

最後といえば,最後の最後.コリーニ親子が並んで歩く姿はヤバかったです.劇場だと落涙していたことでしょう.宅観でよかったです.