なつみ

mellowのなつみのレビュー・感想・評価

mellow(2020年製作の映画)
4.5
今泉監督作品は、愛がなんだが初めてで、愛がなんだが自分の中で、残る作品だったので、他の作品も観てみたいと思って観てみた。テーマは片思い。

愛がなんだもそうだったけど、今泉監督の恋愛映画は、ラブストーリーというより、恋愛について、という印象を受ける。考察というか。関係性よりも感情の動きが主というか。
それがすごく興味深い。別に問題提起をされてるわけでもないのに、台詞のひとつひとつに、自分ならどう思う?と問い掛けられてるような気にさせられるというか。

「店が閉店しちゃうから、それをお知らせして最後に来るのって、なんか違う気がする。愛情じゃなくて情っていうか。」
「愛情じゃなくて、情だとだめなの?そこに気持ちがあるなら、それでいいんじゃないかな。」

「自分がいなくなるから、自分の気持ちを伝えるのって、自分のためっていうか、エゴじゃない?」
「でも、伝えなかったら、その気持ちはどこに行くの?なかったことにしていいの?」
「世の中の好きって、そんなに表面化されていないんじゃないかな」


まさに、mellowな、柔らかでまろやかな、なんてことない台詞が、なんてことなく語られていくのに、妙に残ったりした。

大人の片思いも、中学生の片思いも描かれていて、それが絶妙に繋がっていて、瑞々しかった。それぞれの、気持ちを伝える、ということへの見え方の違いが面白かった。
大人も、そんな簡単に割り切れたり、うまくやれたりするほど大人じゃないよなぁって思える描かれ方だった。
いくつになっても器用になれなかったり、妙に揺れたりするよね。
ともさかりえの夫婦はぶっ飛んでて笑えたけど、あんな真剣に語られると、どこが可笑しいのか、言ってることがわからなくもないと思えてしまう不思議。

花屋さんの田中圭を中心に、色々な片思い模様が見られる。あんな素敵なお花屋さんがあったら通ってしまう。
なつみ

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