serina

mellowのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

mellow(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

今泉力哉監督3作目

最後のシーンは「ありがとう、いってらいっしゃい」の花束であると、決めました。きほちゃんが、一瞬で枯れてしまう花束をドライフラワーにして、部屋に飾って留学生活の中で誠一くんを想う日々がありますように!そのうちの一部は、押し花にして、本のしおりになって、勉強のお供になってますように!誠一くんは、お花屋さんの仕入れのたびに、空を飛ぶ飛行機を眺めて、「飛行機だ」って眺めてるキホちゃんを想い出してますように!

「矛盾しているようだけど、わたしの中では筋が通ってるの。」って言いたい瞬間、みんなあると思う。将来とか人間関係とか普通に考えて出る答えと自分の希望ってどこか矛盾してたり、でもそれでも道理って気持ちには勝てなくて。そういう時は、めちゃくちゃなこと言ってるのはわかってるんだけど、こうしたいの!って言い切っちゃうのも清々しい。

「閉店するからラーメンを食べにくるなんて、愛情じゃなくて、情じゃないですか。いや、同情みたいだ。死ぬ前のお見舞いとか。相手のためじゃなくてエゴでしかない。」
って、力強かったなあ。今泉監督っぽい歪みだけど、お葬式に同じような理由で否定的なので、この歪みがいちばん理解できてしまって。でも、映画の中では、その歪みをちゃんと正してくれるキャラクターがいて。なんだかこれっていう答えを押し付けずに投げちゃうところが説教くささなくて心地良い。
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