ナガエ

シンクロニックのナガエのレビュー・感想・評価

シンクロニック(2019年製作の映画)
-
内容に入ろうと思います。
救急隊員であるスティーブとデニス。彼らは日々患者の搬送に追われるが、ここ最近奇妙なことが多い。室内でかなり古いものと思われる剣によって刺されている男性、ホテルの室内で蛇に噛まれた女性、遊園地で原因不明のまま発火し焼死した女性。彼らはどうも、何かクスリをやっていたようで、現場には「シンクロニック」というパッケージが置かれていた。
スティーブは身体に異変を感じ病院に行くと、脳内に腫瘍があるという。しかも珍しいことに、普通は松果体の内部に腫瘍が出来るはずなのに、彼の場合は松果体の上部に出来ている。通常松果体というのは加齢に伴って老化していくのだが、スティーブの松果体は10代と遜色がないものだ、と診断される。手術で取り除くことは出来ないが、放射線治療で治そうと決意する。
一方デニスは、非常にできた妻と、18歳の年の差がある二人の娘と暮らしている。スティーブからすれば不自由のない生活に見えるが、デニスはどうも不満げだ。長女のブリアナは朝帰りをするようになり、学校の成績も落ち気味だ。ブリアナがいたから結婚生活が続けられているとデニスは考えているが、そんなブリアナは寮で生活するために家を出る予定だという。
そんなある日、いつものように搬送のために呼ばれた現場で、ブリアナもここにいた、という話を耳にする。一緒にクスリをやっていたはずなのに、姿が見えないというのだ。実際、ブリアナは行方不明となり、デニスはさらに妻との関係が悪化していくことになる。
その現場にも「シンクロニック」のパッケージが捨てられていたのを見たスティーブは、あちこち回ってどうにか「シンクロニック」を手に入れる。すると、このクスリの謎の効力を理解するところとなり…。
というような話です。

冒頭は、なんか凄く面白そうな雰囲気だったんですよね。でも同時に、全然話の展開が分からないなぁ、とも思ってました。とりあえずいろんな情報が出てくるんですけど、それぞれが繋がらないんですよね。「なんかヤバい状況になってる救急搬送の現場」とか「スティーブの松果体」とか「デニスの家族の話」とか。これらの情報がほぼバラバラの状態のまま結構中盤に差し掛かって、全然話についていけてない気がする、と思ったぐらいでようやく、「シンクロニック」というクスリの効力の話が出てきて繋がります。一応、「シンクロニック」の効力については、ネットで検索できる公式の内容紹介にも書いてあるんで、書いてもネタバレではないと思うんですけど、書かないことにします。

で、その効力が分かってからは、なるほどという感じで見てはいたんですけど、いかんせん、スティーブが行う「実験」が、本当にただの実験というか、物語に深く関わるわけではない「観客向けの設定説明のための場面」という感じで、それがちょっと残念だったかなぁ。スティーブの「実験」によって向かう先で起こる物語が、全体の中で有機的に繋がっていくんだとすれば、かなり面白い物語になったような気がするんですけど、そんなこともなく、ちょっと残念でした。

全体的に、残念感のある映画でした。設定とか、人間関係とか、スティーブとデニスの関係性とか、要素要素は割と面白そうな雰囲気なんだけど、全体としてどうも面白くなりきれない感じでした。
ナガエ

ナガエ