MasaichiYaguchi

デンジャー・クロース 極限着弾のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
ベトナム戦争終結後50年間封印されていた「ロングタンの戦い」を映画化した本作では、オーストラリア軍108人とベトコン2,000人との激戦を恰も戦場に投げ込まれたような臨場感で描いていく。
このような実話を基に多勢に無勢の戦いを描いた映画というと、「ブラックホーク・ダウン」「ローン・サバイバー」等が思い浮かぶが、本作も過去のこれらの作品に引けを取らない過酷さで、孤立無援の兵隊たちの焦燥や悲哀がスクリーンから伝わってくる。
この戦いは、1966年8月18日未明、南ベトナムのヌイダット地区にあるオーストラリア軍司令部の基地がベトコン部隊の砲撃を受けたことから幕を開ける。
砲撃したベトコン部隊の索敵するオーストラリア軍D中隊が農園地帯のロングタンで敵部隊と遭遇し包囲されてしまったことから、ベトナム戦史上最大となる1日当たりの損失を生む苛烈な戦いに突入する。
死と隣り合わせの戦場では人間性が剥き出しになるが、本作でも相手に対する嫌悪や、権威を振りかざしたりして、それらが本来優先されるべきことへの判断を狂わせ、最前戦の兵士たちを「デンジャー・クロース」という“肉を切らせて骨を断つ”ような捨て身の戦いへと追い詰めていく。
その死の淵から救い上げるのがオーストラリア人の“マイトシップ”(助け合いの意識)で、これが終盤の絶体絶命の場面で遺憾なく発揮されて“激熱”になります。