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ミセス・ノイズィのjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

物事のA面とB面、二元論のその先

二つの視点の衝突を切り取ってその転換と混じり合った先を見せるってことだけで、ちゃんと面白いものにしてるのが素晴らしかった。

視点の切り替わりが起こってからえー!って感じで胸が掴まれた。同じ映像じゃなくて主観に寄り添って声の掛け方とか自分や相手の態度も穏やかだったり激しくなってたりするのが面白かった。言葉が聞こえてないとか、掛け違いだなぁ…

もう知らない人も多いのではないか…
平成の忘れられないニュース『引っ越しおばさん』に着想を得たであろうご近所騒音ドタバタコメディ。凄い発想。あの事件ってたしかに本当はなんだったんだろう…
布団叩きおばさんのキャラも凄く最高だったし主人公の方のお顔と喋り方も大人子供みたいで少し幼さを感じさせるバランスなのが絶妙だった。可愛い。

2点だけ展開に不満があって、
間接的加害者の存在の描き方が非常にうまいな〜と思ってみていたのだけど、
おもっくそ原因作ったクソ弟(甥っ子?)が何の改心もない事と
間接的に主人公をワンオペ育児で余裕を失わせた夫が常に優位で(ラストに至っては神々しく坂の上から見下ろして)揺るがなかったのは個人的にはモヤモヤした。こいつも悪くね?
まぁ全員に裁きが下るみたいな話ではないんだけどさ…なんか。

メディアや世間の手のひら返しがほんとクソすぎてムカついたけど現実こんな感じだからうう〜ってなる。すごくよかった。
モヤモヤポイントがいくつか解消されないままな割に、前向きできれいな終わり方すぎだけど、終盤まで描き方がほんとツボだったので大好き。
しかし、エンディングはOPみたいないい意味で間抜けな雰囲気の曲だと良かった…

〜小道具の使い方〜
○布団とボール
…執筆中に鳴り響く布団のたたく音が騒音としてことの発端になる。視点が切り替わり布団を叩くのは虫の幻覚を見る夫のためだとわかる。夫は逆に音や視線に不安を覚えるため子供の廊下でのボール遊びの音に悩まされてもいる。

○小説

○メディア(youtubeみたいなの)

○子供(小道具ではないけどね…物語的な意味合いでね汗)
…主人公と『騒音おばさん』を繋ぐ橋のような存在。母には人の家の子を無断で何時間も連れ出す非常識な隣人に見える。しかし我が子を亡くしたおばさんにとっては娘をほったらかしにしてる母親が許せない。ケーキが親の喧嘩の末にお父さんの肘で崩れるシーン超かわいそう…

〜今日のひとこと〜

○これ、使う?
ークソッタレ弟がヒートアップした頃合いを見計らい姉(主人公)に窓辺から魚の煮付け入り鍋を差し出した時の言葉。塩振りかけられて間髪入れずに手渡す感じがクソすぎて笑ってしまった。

○昼間に布団叩くのと、子供をほったらかしにしてるのどっちが非常識かしら?
ー作品のテーマを集約した問いかけやね
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