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バーレスクのくりふのレビュー・感想・評価

バーレスク(2019年製作の映画)
4.0
【ルッキズムを贅肉でゆさぶる】

アマプラで偶然見つけ、バーレスクと聞くと反応してしまうので見てみたら、まるで予想しなかった内容で、ちと優等生ぽい仕上がりながら、掘り出し物でした。

2019年のチェコ産、日本未公開物件。

ヒロインは小学校の教師だが、母親譲りのプラスサイズ体形。生徒にもからかわれるそれがコンプレックスだが、ある出会いから、バーレスクの舞台に立つことになってしまう…。

テーマは明快。ルッキズム。ヒロインのリトマス試験肉が、個人の美意識を、絶妙に揺さぶってきます。

ヒロインの見栄えは渡辺直美的、と言えば近いですが、彼女のように、プロタレントとして洗練されていません。これって美しいのか?いいのか?という、個人差出るはずの疑問サイズが、本作を見る価値の大きさでもあると思います。

舞台を小学校にして、抑圧の構造をわかり易くしてあるのも善かった。

83分と短いですが、きっちりボールを投げており、やっぱり監督は女性でした。こういう作品は、どんどん出て来るべきだと思う。

原題は訳すと『牛が飛ぶとき』だそうで、テーマに対して二重の意味があり、字幕で訳されない、終盤のメッセージにも大きく関わってきます。

小品ですが、こういう出会いがあるから、未公開作も油断できないし、配信ってありがたいな、と思います。

<2021.10.26記>
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