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アトランティスのlpのレビュー・感想・評価

アトランティス(2019年製作の映画)
4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ5本目はウクライナの『アトランティス』。
実は今回のコンペ14本の中で、事前の期待値が最も高い映画は今作。何故なら監督のヴァレンチン・ヴァシャノヴィチは、数年前にカンヌを沸かせた聾学校を舞台にした驚愕の映画『ザ・トライブ』の撮影監督だから!『ザ・トライブ』の衝撃に見事にやられ、2015年の年間ベスト10に入れた身には、もうこれだけで今作を鑑賞する理由は充分。
気合いを入れて鑑賞。期待通りの凄い映画だった!

ロシアとウクライナの戦争が終結して1年が経過した近未来を舞台に、元ウクライナ兵の物語が展開される。

冒頭から前半の度肝を抜く描写の数々に一気に惹き付けられると同時に、戦争を通じて個人が抱える精神的な傷跡と社会が戦後に抱える様々な課題を手早く浮き彫りにしていて圧倒される。強烈な映像にメッセージを載せて映し出す手腕が見事。

『ザ・トライブ』の強烈さには少し及ばないように感じたけれども、「映像表現」という意味では、昨日・今日で鑑賞したコンペ作品の中で今作は抜きん出ていると感じた。

ただ、中盤から後半にかけてはストーリーが少し落ち着き、映画の勢いも少し失速してしまったように感じた。

ここまで個人の物語を深掘りするコンペ作品が多かった中で、社会と個人の関わりに強くスポットを当てた今作にはグランプリ受賞もあるのではないかな?
ヘビーな作品ですが、気になる方はぜひ。
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