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悪なき殺人のlpのレビュー・感想・評価

悪なき殺人(2019年製作の映画)
4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ4本目はフランス映画の『動物だけが知っている』。ドミニク・モル監督の新作。
昨年のコンペを制した『アマンダと僕』を送り出したフランスから、今年は2本がエントリー。その内の1本が今作。
1人の女性の失踪を皮切りに、様々なエピソードが絡むサスペンスを、セザール賞の受賞経験もあるドミニク・モル監督が撮るということで期待値は高め。
そして、主要登場人物の1人に扮するのは、今年日本公開された『ジュリアン』で、「そこまでするのか!」と思わずにいられない恐ろしい父親を見事に演じたドゥニ・メノーシェ(最近では『エンテベ空港の7日間』にも出演。同作ではテロリストにハイジャックされる飛行機の機関士を好演。)。今回のコンペ出品に伴って来日も予定されており、上映後にはQAへの登壇もある(逆に残念ながら監督の来日はなし)ということで、こちらにも期待して鑑賞。
そしてこれが期待以上に面白いサスペンスだった!

内容は前述の通り1人の女性の失踪事件を皮切りにしたサスペンスを、複数の主要登場人物の視点でリレー形式で映す。謎が謎を呼び物語の全体像がなかなか浮かび上がらない展開にグイグイ惹き込まれる。

そして、物語の全体像が浮かび上がると同時に浮き彫りになる一人の「バカ」。そのあまりにも愚かな姿に笑いが起きると同時に、今作が一貫して「愛情への渇望」というテーマでドラマを描いていることが伝わってくる。サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても、今作の脚本は非常に巧い。

映画祭期間中にもう1回上映があるので、気になる方はぜひ!オススメ!
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