菩薩

わたしの叔父さんの菩薩のレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
3.8
クリスちゃんは心配症×叔父さんのひとりでできるもん。過去にどデカい悲劇を経験し、己の人生を自由に羽ばたく事をやめたクリスちゃん、この悲劇の入れ方がなんともデンマーク映画だなと思うが、彼女にとっては悔いても悔いても悔やみきれない出来事なのだろうし、それが現在の彼女のライフスタイルにも大きく尾を引いている。そんな彼女をなんとかしてもう一度羽ばたかせてやりたいおじさん達であるが、彼女にとっての大事な物は別のところにあり、それは何人たりとも否定出来るものでは無い。心優しいイケメンくんとのせっかくのデートにもわざわざ叔父さんを連れて行ってしまう始末、ただ大空を自由に飛び回る鳥達を前にイチャコラする若い二人と見事なソーシャルディスタンスを取る叔父さんは必見、デートに行く前のクリスちゃんの毛先を覚束ない手つきで綺麗に切り揃えてやる叔父さんに泣く。代わり映えのしない毎日の中で、テレビから世の中の分断や対立のニュースが垂れ流されている光景はなんとも渡辺紘文、と言うか本当に大田原愚鈍舎チックな酪農ムービーだし、悪夢のトランプ政権が終わり、干支も丑年の今だからこそ観るべき作品かもしれない。何気にニャンコ映画でもある。
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