消費者

ラ・ジュテの消費者のレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.7
・ジャンル
SF/フォトロマン

・あらすじ
第3次世界大戦が勃発する数年前
少年は家族と共に空港見物に来ていた
しかし平和その物であった日常は爆撃の轟音と共に脆くも崩れ去ってしまう
やがて崩壊したパリは勝利者達の支配下に置かれ、放射能により世界中の生存者達は地下で生活する事を余儀なくされた
そして長い歳月が過ぎると青年となった少年は科学者達の実験台に選ばれる
内容は時間に穴を開け、過去と未来を繋ぎ被験者に行き来させる事で現在の世界を救うという物
日常が崩れ落ちたあの日以来、理由も分からず空港や1人の女性、そして男性の死という光景に取り憑かれていた青年
実験は成功し、彼は第1段階として過去に行きあの時の女性と再会
やがて2人は互いに強く信頼し合う関係になっていく
果たしてその先に待ち受けていた青年の強迫観念の正体とは…

・感想
いつか観たいとかねてから思っていた‘95年の名作「12モンキーズ」の原案となった作品という事で先に鑑賞
本作は静止画と音楽、ナレーションや囁き声などのみで構成された“フォトロマン”という形式で製作されている

まず驚いたのは静止画と音や言葉だけでここまで壮大な世界観の物語を見事に作り上げられる物なのか、という事
最小限の画の動きで未来を表現している、という点と重苦しい空気や世界観などは「
最後にして最初の人類」と似た物が感じられた
そして変わった手法だけでなく30分弱という尺で見事に悲劇的な結末までの展開を描いているのがまた凄い

「12モンキーズ」は本作とオチも同様という事で先に知ってしまったのは失敗だったかな、という気もするけど順番がどうであれどちらかでオチは分かってしまうのでまぁ仕方ないかな

何はともあれ静かに物語が進んでいくのにインパクトの強い作品だったし、昨今のAI生成された画像で既存の作品を違う作風に描き変えた動画などを思わせるスタイルに近しい手法が60年代の時点で確立されていたのは脅迫の一言
消費者

消費者