イギリスから、とびきり笑えるお話がやってきた。冴えない中年男達が金稼ぎにと奮起一発、なんとストリップに挑戦!!デブにガリガリ、じい様達のステージの行く末は如何に…。この映画のミソは、イギリス映画ということである。社会情勢、失業、挫折。お国柄か、イギリス映画には何処か人生のやりきれなさが付きまとう。底辺でもがく人達の奮闘と、決してハッピーエンドでない、苦い結末が待っていることが多い。この作品も、主人公達がストリップの発想に行き着くまでには、失業や就職難、養育権の取り合いなどの問題がある。だがこの作品がそれまでのイギリス映画と一線を画していたのは、そう言った暗いテーマを、全部笑い飛ばしたことである。職安でのリズミカルなステップ、取調室でのダンスチェックなど、このシチュエーションでそれやるか、と思わず笑ってしまう。見た目が悪くても、一つのことにしゃかりきになってしがみついたオッサン達は、滑稽であることを通り越して、見ている方まで元気にしてくれる。ラスト、恐らく映画の幕が引けた後には、彼らの努力が報われない現実が待っていることを匂わせる。だがそれを決して作品中では見せず、最後まで映画はそのテンションと高揚感を持ったままエンディングへと雪崩れ込む。これはイギリス映画が生んだ、異端のコメディだ。トム・ジョーンズやドナ・サマーなど、踊れるナンバーも満載である。
