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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのtakatoのレビュー・感想・評価

4.7
出ました!本当なら去年のベスト1候補にして、今年の早くもベスト候補なスパーダーマンの新作が。マルチバースなスパイダーマンとしては「スパイダーバース」という大傑作がすでに存在したが、こちらも勝るとも劣らない大傑作ですよ、こいつぁ!。


 詳しくはネタバレになってしまうのでハッキリとは触れませんが、とにかく単なるオールスターだから祭りだ映画なええ加減さがない見事なクロスオーバー作品でした。ただ、「あ、あの人もあの人も出てる!」ってだけに終始してしまう駄目な作品も無数に存在するが、本作は見事に成功している。最近某大ヒット漫画原作の映画を見ても思ったが、結局はキャラを魅力的かつ効率的に描き、それらを絡めることで起こるケミストリーをいかに描くか、という基本的な筆力の強さこそがエンタメ作品の鍵だろう。


 アクションに関しては、地味な肉弾戦ともビーム連発の空虚な派手さの戦いとも違う、スパイディならではの派手さと小味を抑えていて、かつ見ごたえのあるアクションを見せつけてくれて久々にスカッとするものが見れた。ビジュアル全般の決まり具合も素晴らしく、ピンクがかった夕焼け空をバックにスイング移動するシーンの美しさ、予告でもあったストレンジとの「インセプション」倍増しなサイケデリック映像の驚異さも圧倒的。


 ラストの締め方は、過去のSF系作品なのであったパターンだけどキャラに見事に乗っかってこれたからこそやはりグッときちゃうよね。ヴィランたちの最後のところでもう一押しあったら号泣だったけど、それについては時間が経ってネタバレありでも書ける時に「こうだったらいいなぁ〜」な願望を書きたい。


 「最近2時間半超えの映画が多くて辛い」みたいな意見を見かけるが、確かに私も同意できることが多いけど本作には全く当てはまらなかった。むしろもっと見たぁ〜いと思ったくらいであった。結局退屈さがある作品は尺に関係なく気持ちが切れちゃうから疲れるわけで、本作は今まで通りとにかくテンポが心地よいし、ユーモアが随所に効いているから全然疲れない。


 それにしても、エンタメとコメディーって簡単なものみたいに見なされがちだけど、こういう作品を見ると偉大さ重要さがよくわかる。「暗くて深刻ぶれば偉いと思ったら大間違いだ!」という高橋ヨシキさんの金言を再認識した。
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