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ファースト・カウのMALPASOのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.6
映画『ファースト・カウ』

傑作!

監督はケリー・ライカート。
開拓時代、さすらい、男2人の友情・・・これまで描いてきた作品と同様のテーマで、舞台のオレゴンは、彼女が「可能性に満ちた未開の地」として何度も描いてきた。

誠実な2人の青年に友情。
1820年代、西部開拓時代のオレゴンが舞台。冒頭は現代のシーン、女性が2体の白骨体を発見するところから始まる。
遡ること約200年前、森で暮らす料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。「牛」というのがこの時代ひじょうに貴重で“富の象徴”
ドーナツを作って売ることを思いつく。ドーナツと言っても「サーターアンダギー」のような丸いやつ。ドーナツに穴が空いたのは第一次世界大戦あたりかららしい。
ドーナツを美味くするために、牛のミルクを盗み2人。
美味しいと評判になり、蜂蜜やシナモンかけたりして更に人気になる。
しかし・・・

音楽、余白の映像・・・アメリカン・ニューシネマを思わせる。おとなしい『明日に向かって撃て』みてような感じ。ラストも素晴らしい。

主演は、ジョン・マガロと中国系のオリオン・リー。

冒頭のキノコ、ヤモリ、森をゆっくり見せていくシーンが素敵。当時、ビーバーやマスクラットの毛皮、特にビーバーの脂が金になった事がわかる。食についても、普段小麦粉と水のパンを食べるしかない開拓時代の生活が見えて興味深い。ジューズハープを鳴らしている。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンがでている。ソファに座る姿が一緒。

詩人ウィリアム・ブレイクの言葉「鳥には巣、クモには網、人間には友情」
原作はジョナサン・レイモンドの小説「The Half-Life」(2004年発表)。読んでみたい。

現代でも「ドーナツ」商売はアメリカ・ドリームを築いてきた。ドキュメンタリー『ドーナツキング』に登場するのはかつて巨万の富を築いたカンボジア移民。今でもカンボジア系の人たちがドーナツ店を経営している。
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