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ファースト・カウのmzkのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
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牛の映画だが、牛は目立たず、男たちの行く末を見つめる。ケリー・ライカートの作品は、鑑賞の手段が少なく、ほとんどが未見だ。以前、『ウェンディ&ルーシー』を観たが、これも面白かった。旅の物語なのに、映画の大半は立ち往生。精神がすり減る作品だった。
『ファースト・カウ』と『ウェンディ&ルーシー』の共通点は、どこかに行きたいが、そこを出られない人間が描かれる。どちらも小規模な出来事が起こるが、それすらも解決が難しく、人生が滞る。『ファースト・カウ』の舞台は未開拓の土地で、自然の美しさも魅力的だった。人間よりも、自然が強い。それを感じさせる説得力があった。終盤の展開も素晴らしい。きっと、ほとんどの人たちが結末に気付く。物語はそこに向かう。心を掴まれるラストだった。他の作品も観たい。
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