蛇らい

チャンシルさんには福が多いねの蛇らいのレビュー・感想・評価

2.6
ストーリーにキャラクターが変化するための口実は用意されているものの、成り行きがそうさせているようなだけにも感じ取れてしまう。

気の知れた女優の家でとりあえず家政婦としてバイトをして、フランス語学の先生と出会い、他社と触れ合ったときに再び自分の人生を歩み出す、というシナリオは、映画プロデューサーという元々の職業の半径5メートル以内のコミュニティで起きている出来事に過ぎない。

自らの人生を歩む=映画を撮るという着地を映画業界の最先端で活躍していた彼女に背負わせるには、流れに身を任せた先にある、ありふれた必然に過ぎない。元いた場所、自分、仕えていた映画監督の呪縛から一歩も外に踏み出せていないのではないかと思わされる。

監督自身が決して意図していない読み取り方が可能にしてしまっている脚本の弱さが、そうさせているように感じる。
蛇らい

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