これも合うような、合わないような。チョン・モンホンわからなくなってきた。でもありがちな話のようでありつつ、際どい所を渡っていくような、底辺を回避しようとする努力の話。
ある一家。優秀な兄に対し、弟は抗争によって敵の腕を切り落として、少年院に入るようなやさぐれ者。おまけに若いガールフレンドが妊娠している。父は教習所で教官をしていて、弟にはほとほと愛想を尽かしている。だがこの一家に思いがけない出来事が起こる。
弟が院を出るところはやはり良かった。そのあと仕事探しをするときに、必ず「院にいました」と言うきっぱりした性格も良い。
父親が一番面倒くさく屈折した性格をしている。撮影は今回も監督自身。夢に幽霊が出てくるあたりが、昔の持ち味を髣髴とさせる。マジックリアリズムみたいな演出をする人だったので。真顔の笑いもちょっと残っている。でも非常に重苦しい映画。デカゴシックフォントタイトルは、この人だけのもの。