ヂミー

Awayのヂミーのネタバレレビュー・内容・結末

Away(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

CGの技術が向上していってどんどん画面をリアルに、本物に近く、情報を多く、としていく流れの中で、全く逆を行っている、
極限までシンプルな画面と、つぎつぎに洗練された構図や色彩が目に飛び込んでくる。
まさに観るアートという感じの作品…
影響を受けた作品群もわかりやすく、わかる〜!となったりした…
終始穏やかで、途中ちょっと眠くなってしまうくらい落ち着いているが、言語を廃して画面をポ〜〜と眺めている感じ、ロスコだな…と思っていた…良い。
こういう画風?のものも今後増えていくんじゃないかな〜とも感じる、技術競争ばかりじゃなくて…

普段映画を見る時、つい力んで、物語を追うぞ、とか、かっこいいひとみるぞ、とか、すごいCGが怒涛のテンポで!瞬きできない!みたいな情報過多に襲われることがあるが、
この映画はひたすらぼ〜〜…と画面を見て、うわあ〜〜……と水に浸かっているような感じで見れた。人生の休憩を与えてくれた感じがして非常に居心地がよかった。
今の小忙しい自分に合っている感じがして幸せな時間だった。

まず1人でつくったというのがすごい。
作り切るのは偉大だ…

人間や動物のリアルなモーション自体は、もっと上手なひとはいくらでもいると思うが、
この映画の魅力はそういう部分でなく、
言語化できない、人間の根源的な感情に直で触れてくる感じにあると思った。
高いところは怖いよ…とか、自然は生き物に対して中立だよ…とか、速いと爽快だよ…とか、魂ごと動かされる感じがある。ラストの山下りはずっと鳥肌が立っていた。
若干 手ブレっぽいカメラの動きもなんかよかった…


映画自体はほんとによかったがひとつだけマジでブチギレたことがある…
日本公開版エンディングは必要だったのか?あれをつけたいと言ったのは誰…
できれば言語を何も取り込まない状態で、映画本編でポワーッとなった精神のままでシアターから出たかった。
いきなり日本語と、バイクで走って爽快、という雰囲気のロードムービー的なロックなエンディングがかかり、
あれがあるとないとじゃ映画を観た後の感覚が全く違ったと思う。
仮に、めちゃめちゃ好きなアーティストの曲がかかったとしても同じ怒りを覚えたと思う。
終わりきっていない状態で退場するのはなんとなく好きじゃないので、最後までいたけど、個人的には日本公開版EDは不要だった…
万が一、作者の意思だったとしても、あれはちょっと違ったかもです、と伝えたい…
ヂミー

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