rage30

よりそう花ゝのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

よりそう花ゝ(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

葬儀屋の男と隣に引っ越してきたシングルマザーの交流を描いた作品。

登場人物は皆、家賃を滞納する困窮者ばかり。
更には障害者やホームレスなど、社会の底辺を生きる人々が描かれていきます。

社会派と言えば、社会派映画なのですが、ユーモアのある描写も多く、見ていて辛くなる事はなかったかな。
特にシングルマザーの女性がカラっとした明るい性格なので、彼女に救われた部分は大きいかもしれません。

物語的には、葬儀屋家族とシングルマザー家族の交流が描かれるわけですが、お互いの子供に寄り添い、ケアしていく様子は心が暖まるものがありました。
DVのサバイバーだった経験だったり、葬儀屋としての仕事だったりと、大人だからこそ出来る、子供への接し方を見せてくれるのも良かったですね。

後半になると、社会制度の理不尽によって、彼らが引き裂かれていく事態に。
ラストで主人公が反旗を翻すのを見ると、『わたしは、ダニエル・ブレイク』を想起したりもしましたが、ケン・ローチ作品と比べると、問題提起がどこかボヤけた印象で。
例えば、クスス店の店員達が主人公を責めるのは、明らかに筋違いだと思うし、もうちょっと個ではなく、社会全体に訴えるものがあっても良かったかもしれません。

社会派なヒューマンドラマではありますが、意外とホッコリ出来る作品でもあるので、あまり構える事なく、気軽に見て欲しい作品です。
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