ちろる

はなれ瞽女おりんのちろるのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
4.0
地味ではあるものの間違いなく篠田監督の美学がぎっしりと詰まっている良作。
『瞽女は男と寝てはいけない』
その掟を破りはなれ瞽女となったおりんは孤独の一人旅を始める事になるのだが、おりんを守る平太郎と出会う。
一度性の快楽を知ったおりんが、愛する平太郎に狂おしいほどに性愛を求める、あのおりんのあの姿がたまらなく美しい。

もしも、わたしがこの作品を10代の時観ていたら、きっとおりんのことも平太郎の事も全然分からなかっただろう。
旅を続けるおりんと共に絶えず、美しい風景画のような日本ならではの景観や風土が映し出される。
しかし、そこに置かれるちっぽけなおりんが、過酷な運命に争うように強くたくましく彷徨う様子はまるで観音様のように神々しく、平太郎がおりんを大切に思っていたあの愛の深さが痛いほど分かる。

刹那的だけど、2人で夫婦のように過ごした数ヶ月間が彼らにあった事がせめてもの救い。
時代が違ってれば、少しでも違ってれば彼らの運命は変わっていたのかな。

ほぼ、ノーメイクであろう岩下志麻さまの艶やかさが心から離れません。
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