銀のしずく

ヴィタリナの銀のしずくのレビュー・感想・評価

ヴィタリナ(2019年製作の映画)
4.5
 旧宗主国のポルトガルにやってきても貧しく何の希望もない。故郷には明るい陽光があり、貧しいとはいえポルトガルにいるよりはましな、人間らしい暮らしが送れそうだ。それでも人々はポルトガルへやってくる。そして暗い画面のような、沼にはまっていく。

 ここには植民地だった国と旧宗主国との普遍的な問題があるのではなかろうか。貧困、戦乱、迫害から逃れるため移民する人は多いが、それだけが故郷を捨てさせる要因でもない。同じ国内でも、急成長している国では故郷を捨てて都市に人々は移住してくる。こんな暮らしなら故郷のほうがましと思える結果が待っていても、人々は都市に来る。

 そして人生も、陽光に背を向け光のない沼へと落ち込む道を選んでしまうこともある。