あんず

春江水暖~しゅんこうすいだんのあんずのレビュー・感想・評価

4.1
スクリーンで観た方が良いというレビューをいくつも読んだので、映画館へ。
確かに、山水絵巻と公式HPにもあるように、絵巻のような美しい雄大な自然のシーンの数々は、大画面で観てこそ。その中に暮らす沢山の人々の中から、たまたまスポットの当たったある大家族の日々の奮闘を観させてもらっているような気分だった。占いに爆竹、中華街でお馴染みのものが今も日常に溶け込んでいるんだな~と文化を知れるのも面白かった。

監督の親族が多くのキャストを演じているだけあって、自然な感じでよりリアルに感じられる。川を泳ぐ青年を超ロングテイクで映すシーンは、この新人監督のとてつもない才能を見せつけられた気がする。

監督は変わり行く故郷を社会問題も散りばめながら、リアルタイムで絵巻物として残そうとした。それがすごく映画として意味のあることだと感じた。家族も街も自然も、何一つずっと変わらないものなんてない。人の気持ちなどなおさら。そんなことを考え、日々の営みの尊さを感じた。

3部作の1部とのことで、今後の大家族と富陽の変化が気になる。
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