心が洗われる。まさか映画評でこんな表現をしようとは夢にも思わなかった。
都会と僻地。文明と未開。モノと精神。素朴さと欲望。単なる対比ではない。豊かさとはいったい何なのか。深く考えさせられる。
月並みだが目には見えないモノを尊敬し、自分以外の他者を思いやる心。モノや情報にまみれているとだんだんとずれてきて麻痺してしまうのかもしれない。
ヤク飼いの青年がありふれたゴム長靴を買った時にうれしくて抱いて寝た話しや奥さんを娶るために唄を歌って口説いた話など強く響いた。
モノの価値も性能や価格ではなく、手に入れる迄の過程や想いだって事に改めて気づく。物質文明でなんでもすぐに手に入ってしまう事は、心の思い入れの深さを磨くことや力さえも削ってるのかもしれない。
手に入れるまでの時間や思いは深さに繋がってる。そしてそれが嵩じると所有してナンボだけになってしまってる。そこには精神の深みなどない。