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オッペンハイマーのeulogist2001のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.2
わたしにはすこし合わなかった。いささか長い。毀誉褒貶のドラマでもあり、オッペンハイマー自身の物理学の才能やキャラの奔放さが結果的に振幅が大きくなり、周りから翻弄されたり救われたりする人生でもあったかな。

原爆はそれまでの兵器とは異なり、地球を致命的に破壊してしまう威力があり、それは明らかに世界を変革(イメージではなく現実に可能性が確実になってしまった)したことには違いないだろう。

もはや発明前の世界(世界観)には戻れないのだ。技術、あるいは開発者には責任はないと果たして言い切れるのか。善悪含めて少なくともその大きな一端は担いでいるのは間違いない。

政治家であれ科学者であれ、自らの利益のためではなく、その力の影響力に応じて他者に対する想像力を働かせることは責務。

特に科学者にとっては政権の援助や軍備部門と仲良くなることはとても魅力的だろう。潤沢な予算、結果から得られる名誉、秘密主義でなんでもありの研究・・。いくら後々「苦悩」しても後の祭りに過ぎないだろう。そこに映画作品としての「人間ドラマ」を認めたとしても、結果責任からすれば、比べるべくもない。無意味だ。

しかしながら米ソ問わず、政治家は言うに及ばず科学者たちも「政治的」なふるまいのなんとも醜きこと。ひとは「自らの欲望」のもと、とんでもないものを生み出す。他山の石としたい。
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