めたわに

聖なる犯罪者のめたわにのネタバレレビュー・内容・結末

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ユニークなストーリーに、主人公ダニエル演じるバルトシュ・ビィエレニアがいい演技をし見事な映画に。彼カッコいいですね。

少年院を仮出所したダニエル。少年院では司祭トマシュに聖職に就きたいと相談していたが、出所早々酒薬女を楽しみ、目的地に向かうバスの中ではタバコを吸い警官に注意をされる。聖職に就きたいと言っていたのに…と不思議に思っていると、厚生する為の作業所である製材所には向かわず教会へ。そこで何と「俺は司祭だ」と言ってしまう。
病気療養の村の司祭の代理と勘違いされたダニエルは、教会に住み込みトマシュ神父として司祭の役を果たすことに。
しかしこの村では最近、村人同士による交通事故があり6人の若者と対向車の運転手が亡くっていたのだが、村人たちは一方的に運転手の飲酒運転が原因として、彼だけ慰霊碑に祀ることも教会墓地に埋葬することも拒否、その妻には嫌がらせをしていた。
トマシュは、若者達も酒を飲んでいたこと運転手は禁酒を続けていたことを知り、又聖書者としての意識も芽生え、運転手の葬儀と埋葬をしなければならいと村人に説く。
製材所の同じ少年院いた男に見つかり金を要求され、少年院の本物のトマシュ司祭もやってくるも、なんとか埋葬と葬儀ミサを執り行い、分裂していた村人たちもまとまる兆候が見えた。
ダニエルは以前、酔った末のケンカで殺人を犯しており、その兄が報復の為少年院に入所してきた為逃げるように出所していた。本来来るべきだった教会のそばの製材所でその兄と対決、殴り倒して血だらけで立ち去っていく…

ダニエルの微妙な心情、やんちゃな若者であると同時に、聖職への関心(これは本物のトマシュ神父のおかげか)、村の中だけでまかり通っている誤った正義への反感らを抱え、スマホ片手にユニークな説法で村人達の心を掴みまとめていく様が面白い。酒を飲み女を抱くも心は聖職者、そして既存の価値観やしがらみにとらわれず聖職者よりも聖職者らしく村人たちと関わったことになる。

偽神父の説法というと、「俺たちは天使じゃない」のショーン・ペンを思い出す。頭でっかちではない、心からの言葉は重みがあるのかもしれない。

ちなみにここポーランドでは似たような偽神父事件がままあるとのこと。そこからヒントを得たとある。本当の信仰って何なんだろうと、無宗教の自分は考えてしまう。
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