ヒデロー

ドロステのはてで僕らのヒデローのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
5.0
【パラドックス上等!因果性のジレンマと闘え】

ヨーロッパ企画の大ファンである私にとって、待望の映画でした。
鑑賞してから一夜明けてのレビュー投稿になります。
というのも、筆舌に尽くし難いというのが率直な感想で落ち着いて文章を考える時間が欲しかったのです。

オンライン上映という、ヨーロッパ企画らしいスタイルで映画を我々に届けてくださった“粋”に感謝です。毎日の生活を豊かにしてくれる、ヨーロッパ企画は今や私にとって生活の一部です。

クラウドファンディングにも参加しました。映画の仕事に携わりたい、いつかあのエンドロールに自分の名前を載せたい、そんな学生の頃の夢がまさかこんな形で叶うなんてとちょっぴり照れ臭い気持ちにもなりました。

時間映画の集大成とも言える本作は、ともすれば難解な映画かと少々身構えていましたが、スッと身体に入っていきました。気が付けば私も時間筋肉が鍛えられていたようです。あるいは、万人に受け入れられる作品なのかもしれません。

テレビやラジオなど様々なメディアを劇団内で成立させてしまう凄腕集団。映画もまた例外ではありませんでした。
緻密な計算の基に作り上げられた脚本と労力の掛かる撮影方法に妥協はありませんでした。完成される過程や裏側の努力も映画の一片として視聴者に伝わってきました。

ネタバレは厳禁ですので、内容にはあまり触れられません。陳腐な表現になってしまいますが、面白いの一言に尽きます。
ぜひ多くの人に観て欲しい作品です。

ヨーロッパ企画のメンバーは勿論ですが、さらに朝倉あきさんの魅力に心を奪われました。
品性高潔。あんなお嫁さんがいたらなあとつい恍惚と見とれてしまいました。
いつか本公演や暗い旅に出てくれないかな。

ともあれ、大満足の一本です。
『カメラを止めるな!』と同じレールに乗って、一大ムーブメントを起こして欲しいと期待する一方で、大好きなヨーロッパ企画が遠くに行ってしまわないかという一抹の不安が交錯している感情があります。
この気持ち、同じファンなら理解してもらえるのではないでしょうか。

気合いの入ったレビューになりましたが、この文章がヨーロッパ企画の関係者に届けばこれ以上幸せなことはありません。