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ドロステのはてで僕らのeyeのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
3.8
『ドロステのはてで僕ら』(2020)

京都の人気劇団ヨーロッパ企画の初長編映画

『2分』のタイムパラドックス概念かつイマジネーションを駆使した人力SF映画

まずこの "ドロステ" の意味を理解しつつ作品を捉えるのがポイント

オランダのココアメーカーの名前であり

DROSTE'S CACAO(COCOA)

と書かれたココアのパッケージの箱に
同じ箱を持った女性が描かれている

絵の中の箱にもまた同じ箱

その中にもまた小さな箱

というように合わせ鏡のように
同じ絵が果てしなく連続で続いていく

そこに時間・空間イメージのレイヤーが層になりストーリーが形作られて

登場人物達のタイムパラドックスを体験できる

そんでもって喜劇あり恋愛模様ありと意外とピースでハートフル

驚いたのは全編iPhoneで撮影してたこと

ただスマホ撮影だからか映画の構造上 妙に顔面が揺れていて

個人的には画面酔いを起こして終演後もぜんぜん酔いが取れなかった・・

ストーリー自体は進むにつれて時間軸の絡まり具合がどんどん複雑になっていく

自分の頭をフルに使っても整合性(合ってるのか合ってないのか)の判断が全然つかなくなった・・

時間が直線ではなく輪っかのような曲線を描くことで未来と過去・現在の全てを繋ぎ合わせる

そして妙な伏線(シンバル・ゼブラダンゴムシ・100万)も入り込む

ポイントごとの独創性がストーリーの最終的な帰結を形作っているんだろうと思う

部屋(モニター)を使って行き来するなかで

「もう1人の自分」

に遭遇しないのは全て2分以内で行動してるからだとシークレットのメイキングをみて改めて感じた

先を知ることにおいて
「未来を書き換えない(改変しない)」
っていうルールも敷いてるけど

唐突にバタフライ効果に引っ張られるのもこの映画の醍醐味

秩序・治安維持のためにやっぱり時空警察的なのが現実にやってくるのもSF映画につき物

カメラワークからセリフまわしまでズレを生じさせないのもこの映画の凄みだった

一見ワンカットのように見える構図も作者の術中にハマったということか・・

キャッチコピーである「時間に殴られろ。」

その通りに見事やられました・・
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