けんぼー

ようこそ映画音響の世界へのけんぼーのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
4.0
2021年鑑賞38本目。
映画好き必見の音響の教本的作品。様々な名作を見返したくなる。

映画って芸術作品としてはまだまだ歴史が浅いものであり、絵画的・音楽的・小説的な芸術の要素が詰まっているものだと思うんですが、その中でも、音響が観客に与える影響は大きいということを改めて実感しました。

この作品は、映画と音声の歴史を辿る「縦の関係」と、映画音響にはどのようなものがあるのかという「横の関係」をそれぞれわかりやすく説明してくれるんですが。実際の映像が流れたりするだけでなく、「体感」できるのがすごかったです。例えば、スピーカーがモノラルの時代から、ステレオの時代に変化する説明のところでは、実際に聞こえてくる音響がモノラルからステレオに変わっていって、サラウンドになっていくという。その他にも、様々な効果音や人々の声などがどのように収録されているのかも分かったり。
僕は家でヘッドフォンつけて鑑賞したのですが、これは映画館で見ておくべき、いや、「聴いておくべき」作品だったとめっちゃ後悔してます笑。これから鑑賞される方はぜひ、なるべく良いヘッドフォンでこの映画を「聴く」ことをお勧めします!

映画音響技術の変化の歴史を知ることもできるのですが、「音響」の重要性に気づいていたジョージ・ルーカスやコッポラ、スピルバーグなどの名監督の系譜が、現代のノーランやルドウィグ・ゴランソンまで繋がっているという、人から人への継承も感じることができる作品で、そこも興味深かったです。今に繋がってるう!って感覚が湧き起こります。特に「ブラック・パンサー」の音楽は改めて聴くとやっぱすごいわ。。。

映画好きな人であれば見ておいて損はないと思いますし、映画を見る際の物差しというか、視野が広がります。そしてやっぱり映画は映画館で見るべきだと再確認しましたね。

ということで、映画という芸術の奥深さや歴史を知り、陰ながら弛まぬ努力で映画を支えてきた音響スタッフたちの苦悩、そしてこれからの映画の伸びしろを「体感」することができる良作でした。かなりオススメです!

2021/3/21鑑賞