シネラー

カサブランカのシネラーのレビュー・感想・評価

カサブランカ(1942年製作の映画)
4.0
ハンフリー・ボガート主演の
古典的恋愛映画を初鑑賞。
戦時中でのプロパガンダもありつつ、
ボガート演じるリックに惚れ惚れする
美しいラブロマンスだった。

物語としては、
第二次世界大戦下のカサブランカで
クラブ経営をするリック、
ドイツ抵抗運動の指導者ラズロ、
ラズロの妻でありリックの元恋人イルザ
の三角関係によるラブロマンスを
描いた内容となっている。
主人公であるリックは、
物語前半にかけては冷淡な印象が強く
描かれていくのだが、
イルザとの過去が描写されてからは
純情的で人間味ある葛藤が目立つようになり、
結末ではとてもクラシックな漢と
感じる位に魅力的だった。
恋敵であるラズロに関しては、
その犠牲も厭わない思想からあまり
中盤にかけては好きになれなかったが、
リックとイルザの関係性を察する
聡明さが描かれてからは、
やはり指導者としてのカリスマ性ある
人物として好感が持てて良かった。
1942年に公開されているご時世もあり、
反枢軸国場面が度々描かれるが、
それが物語に強く影響を及ぼす程に
描かれてはおらず、
物語の本筋における邪魔な
プロパガンダとなっていないのは
良い作風のバランスだと思った。

しかしながら、個人的に恋愛映画を
好ましく鑑賞しない為か分からないが、
三人の三角関係に思うところがない訳
ではなかった。
イルザの動向は理解できるが、
現恋人の為に過去の恋人を利用するよう
にも捉えられる上に、
それでリックを責める場面もあるので
好きになれないヒロインだった。

ラブロマンス映画の古典であり、
「君の瞳に乾杯」という名台詞と共に
こういう人でありたいと憧れる作品だった。
時代背景や劇中でのプロパガンダ要素を
理解した上で、改めて再鑑賞したいと思った。
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